#高倉 本日は図書館総合展2020 図書館ゲーム部のコンテンツの一つとして、図書館クエストを作られた城西大学水田記念図書館の近藤さんにお話を伺って行きたいと思います。 今日はよろしくお願いします。 #近藤 よろしくお願いします。 #高倉 では早速ですね、画面を見ながら、これを軸に話をしていけたらと思います。 #高倉 まず今回は趣旨説明というから大まかな説明を見ている方にするのですが、図書館クエストというゲームを城西大学さんが作られまして、これが非常に面白くて、かつ図書館のことが分かるというので、一部司書界隈、司書ゲーマーの間で話題になってたんですね。 #高倉 今回はどういう風に作ったんだろうとか、どういう進め方をされたんだろうっていうのをちょっと伺っていけたらいいと思います。 ということで、早速この図書館クエストですが、まずはゲームの簡単な説明を見ている方にしますと、こういう風にいわゆるロールプレイングゲームのような形で図書館の中を進んでいきます。 中にいる人やなんか光っているところに話しかけたり調べたりすると、ここではこういう展示をやってますとか、図書館ではこういう事をやっていますのでリクエストとか出せますよ、みたいなのが遊んでいるうちに分かるというゲームになります。 #高倉 では早速なんですがこのゲームを作ろうと思われたときっかけというか、どうして作ろうと思われたのかお聞きしてよろしいでしょうか #近藤 はい。このゲームを作るという企画自体は、実は三年くらい前に雑談の中で生まれたんですよ。 こういうツールがあって実はこういうことができるので出来たら面白いね、というような雑談をしたところがスタートですね。 新入生のオリエンテーションでは、いろいろ朝から身体検査とかパソコンの使い方とか履修の仕方とかずーっとやるじゃないですか。 そうすると図書館の出番が来るんですが、どうしても短くなっちゃうんですよね。 #高倉 ああ、まあそうですよね。 #近藤 学生もずーっと朝から話を聞いているから、もう完全に集中力が完全に途切れちゃっている状態で。 そこでじゃあ「図書館です。こういうものがあります。みんな来てね」なんて言っても、「みんな来てね」は多分残ると思うんですけど、途中の細かい説明とかはどうしても抜け落ちちゃう。 #近藤 ですから今までも短い時間でどうにかして学生に伝えたいな、と思って。 パワーポイントでも表示してスライドで解説したりですとか、あとは図書館の学生アドバイザーという学習のサポートをしてくれている学生の団体がいまして、図書館の紹介の動画を短く1分ぐらい凝縮したを作ってくれたのでそれを流してっていうことをいろいろやってたんですけど、やっぱり短い時間に全部伝えるとやはりどうやっても無理で。 でも、だからといってじゃあこのパンフレットに全部書いてあるから読んでねって言っても、なかなか読んでもらえない。 #近藤 そういったときにじゃあ何かで「遊べて、それで図書館の中のことが分かるようなもの」、そういうものを作ったらいいんじゃないか。 まあ楽しく学べるようなものですね。そういったものがあったらいいなーっというのを考えたところで、じゃあゲームで作ってみるかということになったんですね。 #近藤 それで、たまたま私がこのRPGツクールを個人的に持っていて、話がトントン拍子に進んだという感じです。 #高倉 おおおおおお なるほどですね #高倉 今、お話聞いてて面白かったのが、新しいアプローチで説明できないかってなった時に「じゃあゲームを作ってみよう」っていう発想が出るあたり、たまたまRPGツクールの経験があったっていうのは、なかなかないたまたま感というのがある。 #高倉 すごくお話聞いて分かります。私も今大学図書館に勤めていますので、まだ全然2年目とかなのでまだ1回しかガイダンスを行ったことがないんですけど、ガイダンスって本当にすごい限られた時間でかなり詰め込んでお話をするので、やっぱり後から学生さんとかには、もちろんこっちは説明してるつもりなんですけど聞かれたらコレってどうするんですかって聞かれた、ガイダンスで話してるけどやっぱりあれ伝わってないんだなっていうの私もすごく感じてたんですね。 #高倉 非常に今の話は分かる、という感じになります。 #近藤 こればっかりは学生が悪いとかっていう話ではないんですけども、やっぱり10教えて10知ってもらうのは無理で、1残ればいいなっていう気持ちでどうしても話をしないと駄目なところがあるので、後でもう一回何かで知りたいなって時に、パンフレット以外に何かあるといいなっていうのも趣旨ですね #高倉 そうですね。これは学生さんの方の問題ではなく、10伝えて1くらいって思わないとですね。 パンフレット隅から隅までで読んでくれたりっていうのは難しいからですね。 そこで、このゲームというこれはもう本当に面白くてですね、素晴らしいと思います。 #近藤 ちょっと恥ずかしいですね。 #高倉 雑談なんですけど、この間福岡の県立図書館さんに行って研修をさせていただいたんですけど「図書館でゲームを活用しましょう」みたいなのに出させていただいたんですけど、その時福岡県立の方も図書館クエストはご存知で。 #高倉 すごく興奮気味に私に話してくれてですね「図書館クエストのやつ、あれいいですよね。自粛期間に私も作ればよかった。どうしてこれを作るって言う発想が出なかったんだ」みたいなのを随分悔しがってる方がいらっしゃいまして。 #近藤 そう思って貰えると嬉しいですね #高倉 私も「なるほど確かにこのアプローチがあったか」っていうすごい目からウロコと言いましょうか。感動しましたし、クオリティが凄くて。 #近藤 恥ずかしいですね。 #高倉 私もパソコン版じゃないんですけど、RPGツクールのスーパーファミコン版で作ったことがあるので #近藤 スーパーダンテの方ですかね? #高倉 スーパーファミコン版で前に作ってて。全然容量がないんで、村1個作ってイベント2・3個作ったらもう容量が足りませんってなっちゃう感じなんですけど。それで作ってたんで、これ作るの大変だったろうな、っていうのがすごくわかるからですね。 #近藤 ありがとうございます。 私もちょうどRPGツクールはスーパーファミコンで出てたスーパーダンテからですね。 #高倉 あっ、そうなんですね。 #近藤 はい。あれは何年……結構昔ですよね。 #高倉 かなり昔……。 ルーツはそこだったんですね。 #近藤 そうですね、そのへんは一緒だったんですね。 #高倉 その福岡県立の方もですね、図書館クエストのことはこのカレントアウェアネスで知られたということですね。 #近藤 もうちょっとこうすればよかったなっていう。 #高倉 ああ、いえいえ。 この記事は私も読ませていただいて「なるほどこうだったのか」っていう、すごく近藤さんがゲームに詳しいだなって思ったのは、最初にVRの構想もあったって書かれていて、でもコスト上で作る側のコストもそうですし、見る側の通信のデータ量の問題とかだと思うんですけど、 でもいったん諦めたと書いてあって。 このVRっていう発想が出るっていうのと、さらにこれはやっぱりちょっとコスト的に厳しいという判断ができるっていうのがゲーム会社の人みたいだなって。 すごいなって。 #高倉 最初皆さんでお話ししてVRもいこうか、みたいな話があったって感じだったんですか? #近藤 いや、これは企画を何か立てようかなと思った時点で、私は個人的にやってた感じです。 #高倉 個人的に「VRでいけないか」みたいな? #近藤 VRだったらウィザードリィみたいな感じですね。 #高倉 はいはいはい。 #近藤 3Dのダンジョン形式でいったら、臨場感あるかなと思ったんですね、最初は。 #高倉 そうですね。自分視点で、今で言うFPS視点になるからですね。 #近藤 そうですね。 で、Unity流行だから、ちょっとUnityさわってみようかなと思って。 色々導入しようと思ったのですが、恥ずかしい話、自宅のパソコンのスペックがまったく足らなくて。 ツールを立ち上げた時点でガクガクになってて。 #高倉 あー。 #近藤 これ、まず作るハードルが既に高すぎて、ダメだなっていうのがまずあって。 #高倉 はい。 #近藤 で、自宅のパソコンでガクガクなのに、これをオンラインで流して、みんなついてこれるかっていうと、まあまず無理だなって。 そういうことになって。3DというかVRの方はちょっとこれはダメだろうなっていう結論に達しまして。 #近藤 もう一つが、さらに恥ずかしい理由なんですが、私3D酔いするんですよ。 #高倉 あー!わかります、私の友達もいますいます。 #近藤 実際に簡単な画面を作って、ただの四角い空間を作って、視点を動かしてる時点で、既に自分が酔い始めまして。 仮に作れたとしても、僕自分で遊べないというか、プレイできないなってことに気付きまして。 で、総合的な理由から、ちょっとVRは無理だなという結論に達しました。 #高倉 それでもやっぱり一応簡単なものを作られて、実際に動かしてみて、っていうのをされて。 #近藤 そうですね。 #高倉 ゲーム開発の話が好きなので、よくそういった本を読むんですけど、かなり近いというかほぼ同じ事をされる感じですね。 最初に計画して、簡単なモックみたいなのを作られて、試してみて、いけるかどうかをやる、触ってみるっていう。 完全にゲーム会社的な感じで。いや、すごいなと思いました。 #近藤 好きなゲームはたくさんあるんですけど、できないのが多いんですよ。 #高倉 あー、3D酔いはそうですね。結構今は3Dが多いからですね。 特にVRとかはもう絶対3Dになるというか。 #近藤 そうなんです。 #高倉 そうですよね。 #近藤 私最近アイアンマンのVRを買って、なりきってるんですけど、やっぱり酔うんですよね。 #高倉 あー。 #近藤 アイアンマンでいられるのが15分しかないっていう。 #高倉 アイアンマンというか別のヒーローを足したような感じですね。ウルトラマンとか足したみたいな。 #近藤 虚弱なアイアンマンみたいな感じに。 #高倉 近藤さん、VRもやっぱりご自分で買われて遊ばれててっていうので、ゲームはいろいろされてる? ゲーム歴的なのはかなりガッチリという感じでしょうか? #近藤 そうですね。ゲーム歴を遡るとけっこう古いんですけど、たぶん一番古いのが、昔富士通がFM7っていうパソコンを出してたんですね。 #高倉 FMタウンズではなく? #近藤 7ですね。1982-3年頃に出てたやつで。 MSXみたいな感じで、本体とキーボードが一体化してるやつなんですけど。 #近藤 それに、マイコンベーシックマガジンっていう雑誌にプログラムがついてくるので、それを打ち込んでやる、みたいな。 そのへんが多分最初のゲーム開発かつゲーム歴最初かと思います。 #高倉 すごい、もうガチガチのガチ勢じゃないですか。 #近藤 いえいえ、そこまでではないです。ただ、当時フロッピーとかがまだ高値の花で、外部記憶端末がテープレコーダーだったんです。 #高倉 あー!はいはいはい。ちょっとだけわかります。 #近藤 でも、テープレコーダーも小学生だったのでテープさえ買えなかったので、遊ぶ前にまずプログラムを10ページくらいあるやつを入れて、遊んで、でも電源切ると何も残らない、みたいな。 #高倉 ああ〜。 #近藤 そういう感じでしたね。 #高倉 いやー、本当、かなり昔からされてる。でもテープでセーブ、私もちょっとだけ経験あるんです。 プログラムじゃなくて、MSX2+かな本当、小さい頃だったからあんまり覚えてないんですけどやってて、ゲームセーブするときに、何かロープレやってたんですよね。 カセットテープにセーブしてて、再生したらどうなるんだろうとか。 ピーガーガーガーみたいな。あ〜〜っていう経験をしてたんですけど。 #近藤 読み込むだけで20分とかですよね。 #高倉 すごい懐かしい話で。では話を図書館の方に戻しましてですね。 私もよくお話しをさせていただくときに伝えていることで、図書館でゲームを活用するっていうのが、デジタルゲームとかボードゲームとかいいですよって。 その時に何が大事かっていうと、やる人がその文化が好きって言うのがすごい大事ですって話をしてですね。 皆さん、司書の方、本当に業務も大変でお忙しくて、そこで何かに企画を、と新しくゲームを取り入れてくださってすごく嬉しいんですけど、どうしてもツール的な取り入れをされる時もありまして。 できれば私としては文化から好きになってほしいなっていうので。 #近藤 そうですね。 #高倉 そういう観点からいうと、もう近藤さんはもうガチガチのガチで完璧すぎるという。 ゲームを通じてゲームをお好きだろうなって言うのがかなり伝わってたんですけど、お話し聞いて、完全にわかりました。 あっ、やっぱりあのゲーム作れるっていう方だな、っていうのがすごく伝わりました。 #近藤 ありがとうございます。 #高倉 実際このゲームを、愛を持って作っていただいて。写真も取り入れてもらったりですね。 書庫の写真とか本当、いいなって思いました。 私もこういうの作りたいなって常々思ってるので。 ただ、これ作るの相当大変だなっていうのがイメージできるから、なかなか手を出せないでいるんですけど。 こういう風にいろいろ作られて、こういう展示のやつとかいいなーと思って。 学生さんとか周りの反応ってどんな感じでした? 生の声といいましょうか。 私、ネット上でしか感想見ていないので。 #近藤 そうなんですよ。実は図書館も長らくこのコロナの関係で休館してたりとか、一部しか開館してなかったりとかで、なかなか学生の生の声が聞けてないんですよ、実は。 #高倉 あー!そうですよね。よく考えるとうちもそうですね。 では、その学生さん以外だと、同僚さんとか、もしくは私みたいに外部の方から急に連絡があったりとか。 #近藤 そうですね、Twitter上では「たぶんうちの学生かな?」という人からは「なんか面白そうだな」とかですね。 #高倉 おーおーおー。 近藤 評価して貰ってました。先生からは上々の評価をいただいてました。作ってよかったなーと。 #高倉 おー。素晴らしい。 #近藤 薬学部が城西大学にありまして、そこに医療栄養学科っていう、栄養士とかそういった勉強をしている学科があるんですけど、そこの新入生向けのフレッシュマンセミナーでまるごと採用してもらいまして。 #高倉 おー! #近藤 遊んで、そこで図書館のことを知ってもらうっていう取り組みに採用していただきまして。 #高倉 おー。もう学科の方で。 #近藤 感想をばーっといただいた感じですね。 #高倉 おー!やっぱりフィードバックあると嬉しいですよね。感想とか。 #近藤 そうですね、あーよかったなあと思って。怖かったので。 いやー。こんなもの作って怒られないかな、と。 #高倉 あー、やっぱそうですよね。ゲームを取り入れて大丈夫かなっていう面は出ちゃいますよね。わかります。 #近藤 ちょっとそこはかなり一安心です。 #高倉 じゃあ、反応はかなり上々で、という。 #近藤 よかったっていう。 #高倉 おお〜。まさにこういうの作って怒られないかなって言うお話なんですけど。 他の方もお聞きになりたいかと思うんですけど、私もこの間福岡県立図書館さんで研修をさせていただいたときに「ゲームの企画をどうやって図書館で通したんですか?」っていうのをすごくみなさん知られたくて。 私はある程度のノウハウはあるんですけど、図書館クエストはどうやって通したんだろうってすごく気になって。 色々手を回してるとかあると思うんですけど、話せる範囲で大丈夫ですので、お話しいただけると。 #近藤 実はですね、一番高い企画を通すハードルが、一番スムーズに行ったっていうところで。 #高倉 え? #近藤 まず、最初にサンプルゲームを作って「こういうことをやってみていいですか?」っていう風に話を持っていったんですね。 #高倉 はいはい。まずサンプルを作る。 #近藤 書面を持ってって「こういう企画で、こういう意図があって」っていう、企画書を持っていって話をするのが筋だとは思うんですが、私の場合ちょっと変化球的にいきなり物を持ち込みまして。 こういうものを使って、図書館の紹介をしたいという風に(企画を立ち上げる時、書面とともに)話を持っていったんですね。 図書館の事務長とか館長が「面白そうだからやっていいんじゃない?」と、割とあっさりというか、快くOKしていただいたので。 #近藤 最初のそこの部分は割と一番スムーズにいった部分かな、と思います。 #高倉 そうなんですね〜。 #近藤 そういう新しい取り組みっていうのには意欲的に取り入れて。そこもちょっと風変わりなところも結構通してくれて。 #高倉 風変わり(笑)。もともと図書館の土壌というか、雰囲気? #近藤 そうですね。受け入れてくれる土壌というのはあったんですよね。 #高倉 えー!なるほど、面白いですね。 サンプルを最初に作るって言うのは大事だなって思いました。 書面だけでピンと来ないっていう感じ。 #近藤 多分、紙で説明してもなかなかわからないと思うんですよね。 #高倉 はいはい。 #近藤 ドラクエのような画面で図書館を紹介する、って言われても。なんかちょっと字面だけでは画面のイメージとかなかなかないと。 たまたまそこで私がRPGツクールで作れると言う話が絡んでくると。 #高倉 たまたまっていう。 #近藤 現物がババーンと出てくると、いい悪いの判断が多分しやすいと思うんですよね。 #高倉 うんうんうん、そうですね。 #近藤 そこが多分、うまくいった要因なのかな、と。 #高倉 はー。元々の土壌に加え、現物をいきなりサンプルでこういうものです、というのを見せることで、って感じですね。 #高倉 すごい勉強になる。ゲームは私も「図書館でゲームを推進」でですね、実際に体験はしてもらうんですね。 ゲームってやっぱり体験を通じて理解していく部分がすごく大きいと思っているので。 #近藤 はい。 #高倉 現物を作ってっていうので。 となると逆に、もう既に近藤さんが図書館クエスト作られてるので、これからRPGツクールも市販されてて、作れるので、私みたいに「よっしゃやるぜ!」みたいな人がいたら、図書館クエストをまず完成されてる現物を見せて「これをうちで作りたい」っていうのを言えばいいですね。 後ろの人に道を作られたという意味でも、すごく大きなことだと思います。今お話聞いて。 後ろの人も続きやすいですよね。近藤さんが作ってくれたので。 #近藤 ありがたいですね。 そういう気持ちがなかったわけではないと思います。 #高倉 誰か続いてくれ、みたいな。 #近藤 誰もやってないからちょっと最初に作りたいな、っていうのはちょっとありますね。 誰もやってないことだったら、いっそ自分がやっちゃえっていう。 #高倉 チャレンジしてくれる方がいて初めて「この方法があったか」って気付くこともできますし、後ろからも続きやすい。近藤さんが道を作ってくれてますし。 いや、もう本当に素晴らしいことだと思いますよ。 #近藤 ありがとうございます。 #高倉 テストプレイとかもカレントアウェアネスを読ませていただいた感じだと、表記揺れなんかを図書館の方、全員じゃないでしょうけど、ある程度の方にプレイしていただいて、バグ出しじゃないですけど、こことここの表記が、みたいなのをされて修正したと書いてあって。 全体的に協力ムードでっていう感じですか? #近藤 はい、そうですね。 #高倉 えー、すごい。 #近藤 一番大きかったのは、我々司書がプレイするとわかっちゃうことってあるじゃないですか。 #高倉 あっ、はいはい。 #近藤 請求記号とかいわれても「あー、請求記号ね」ってわかっちゃうんですけど、まったく知らない人がやると「これはなんだ?」って聞かれる。その視点を得られたって言うのが大きかったです。 お子さんにプレイさせたっていうことがあって、「ここがわからなかった」「これがどうなっているか、うちの子は理解していなかった」と。そういうフィードバックが得られたのが一番大きかったと思います。 #高倉 すごいです、もう完全にゲーム会社のテストプレイですね。 我々が司書だからわかっているっていうのがすごく大事なポイントだなっていまお話し聞いて思ってて、ズレるんですけど、マリオシリーズを作った宮本さんっていう任天堂の方のお話しで、有名なやつで。ゲームができたらまったくゲームを知らない方にプレイしてもらって、それを後ろから見て、どのへんがわかんないのかを見るそうなんですよね。 そういう作用があるみたいなので。 まったく同じで宮本茂さんと同じ発想で同じことを近藤さんがされているので。普通のゲーム開発と同じクオリティでされてるんだなっていうのがすごくわかりました。 テストプレイとバグチェックみたいな感じですね。 #近藤 そうですね、バグチェックですね。 #高倉 すごいですよね。 #高倉 テストプレイは学生さんとかにもしていただいたりっていう? #近藤 そうですね、当時はまだ非公開状態なので、学生アドバイザーにもプレイしてもらいました。 #高倉 ちなみに、修正した部分とかありました?ここがわからなかったんだ、とか。 なんかゲーム開発の話になってきてるんですけど。 #近藤 まず表記揺れとかですね。細かい表記揺れとか、一人でテキスト打ってると同じようなことを違う言い回しでしてたりすることがあるので。 #高倉 あーあー。 #近藤 その統一とか。 あとは自動的に移動して解説するっていうイベントを新書コーナーでやっていたんですけど、いきなりパッパッと移動していったので「これなんか動きがおかしい」って私の方に上がってきちゃって。 ちょっとウェイトを0.5秒くらいずつ入れて、ここと、ここと、ここ、という感じで。 ワンクッション置くような表現方法に変えたりとかそういうところですね。 #高倉 面白い。もうこれ完全に自分が作る時にどこを気をつけようかなっていう、自分が作るつもりで聞いてました、大変参考になりました。 面白いこれ、すごく面白いですよこの話。 ゲーム開発の話もすごい面白いからですね。 全然話ずれるんですけど、ゲーム開発の話のインタビューを集めた「血と汗とピクセル」という本があるんですけど、すっごい面白いんで、近藤さんもお好きだと。もしよかったら。 #近藤 それはメモらせてください。 #高倉 ディアブロ3とかですね、有名どころのゲームが、どうしてああなったかみたいなやつとかですね、マイナーな、近藤さんみたいにインディーズゲームを作られた方で、世界的ヒットを出した方のお話とか載っててですね、今近藤さんのお話聞きながらその本のことちょっと思い出したんで「やっぱり一緒なんだ」って。バグチェックとか、自分の思うとおりにいかないとか、非常に面白くて。 すみません、全然関係ない話で。 #近藤 いえいえ、いい本を教えて貰いました、ありがとうございます。 #高倉 最後に、作って「ああ、これは良かったぜ」っていうのと、今後の野望とか「クエスト2を作りたい」とかありましたら。 #近藤 そうですね、良かったことといえば、図書館クエストを通じて「城西大学がこんな面白いことやってるんだよ」、っていう広報になったことは非常に良かったです。 あとは学生がだいたいみんな面白いよ、面白かったって言ってくれたのはすごく良かったですね。 #高倉 嬉しいですね。 #近藤 結果的に、図書館に一石を投じたかな、と。 #高倉 いえいえいえ、かなり投じてますよ。 #近藤 天国のおじいちゃんやったぜ!っていう感じですね。 #高倉 そのおじいちゃん経由でゲームを知った、みたいな感じですか? #近藤 はい。そんな感じで、一石投じてインパクトを与えることができたっていうのは良かったかなって思います。 #高倉 もう本当に一石をかなり。デジタルゲームも私は図書館と相性良いですよって言ってるんですけど、なかなかデジタルの方は受け入れが難しいという部分があって、うーんと思ってたところに図書館クエストさんが出て来て。 これは面白いぞっていう、Twitterも盛り上がるわ、自分のタイムラインの中で皆さん凄く盛り上がってて。 カレントアウェアネスには取り上げられてっていう。 ついに図書館にもデジタルゲームの流れがきたっていう。私もいいぞいいぞ、と思って非常に喜んで見ておりましてですね。 #近藤 デジタルゲーム自体が国会図書館にすら全然無いんですもんね。 #高倉 そうですね、今はですね、いわゆる納本と同じ制度でゲームも適用されてるというお話しで、ちょいちょい入ってますが、まあ昔のとかはもちろん全然ですね。 #近藤 たぶん一番最初に入ったファミコンのゲームって国税庁が作ったやつかな? #高倉 えっ、そうなんですか? #近藤 私の調べ方が完璧とはいえないんですけど、たぶん国税庁の作ったディスクシステムのゲームがファミコンの一番最初のソフトですね。 #高倉 最初に納品されたっていうことですか? #近藤 たぶん最初に納品されたものかと。 #高倉 ええー。すごい面白いですね。それちょっと私も後で調べてみます。すごい面白いです、その話。最初に納品されたゲームっていうのが国税庁の作ったやつだっていう。 っていうか国税庁ってゲーム作ってたんですね。それすら私知りませんでした。 #近藤 税を知る週間のイベント用に作ったやつらしいんですけど。 #高倉 あ〜。じゃあ非売品のプレミアとかついてるようなやつですかね? #近藤 たぶん売ってはいないんじゃないですかね。 #高倉 あー。マニアがめっちゃほしがるやつですね。 #近藤 調べたやつで一番古かったのは、それとゲームボーイのテトリスがだいたい同じくらい。 #高倉 あー、あれくらいの時期ですね。 #近藤 それより前のが見つからなかったので、無いか、ものすごい少ないかのどっちかだと思うんですけど。 #高倉 か、データベース化が間に合ってないか、ですよね。 ただ、感覚的に昔のを後回しにするっていうのは考えにくいんで、たぶんそこが最古のやつ、だろうな、と思いますね。 #近藤 そういった感じでデジタルゲームの流れっていうのは、図書館の中でも滅び行くっていうか消えゆく資料という認識ができるといいなあ、とも思いますね。 #高倉 そうですね。ゲーム保存に関して今話題というかですね。 #近藤 フォーラムでもやりますよね、図書館とゲーム部で。図書館でデジタルゲームを遊ぶには、みたいなやつで。 #高倉 そうです、そうですね。 #近藤 それをすごく楽しみにしてるんです。 #高倉 福田先生とかに来ていただいてお話しをしていただくという。 もうあれは私もかなり楽しみでですね、面白い話が聞けそうで。 #近藤 そういった感じで何らかの形でデジタルゲームと図書館とか、他の分野とかも繋ぎつつ、色んなことができたらいいな、と。 それが今後の自分の目標かな、というところがありますね。 「ことのはアムリラート」というゲームご存知ですか? #高倉 いえ、すみませんちょっとわからないですね。「ことのはアムリラート」? #近藤 これがちょっと変わったゲームで、異世界召喚モノにちょっと近いんですけど、ある日自分が日本によく似た違う世界に迷いこんじゃって。 そこの世界に行ったら当然言語が通じないんです。 #高倉 あっ、はいはいはい。異世界ものよくあるやつですね。 #近藤 まったく知らない世界に行って、女の子と、その世界の言語を覚える為に四苦八苦しながらコミュニケーションをとっていって話が進んでいくっていう。 エスペラント語をベースにしたゲームなんですけども。 #高倉 あー、あの、世界共通語にしましょうみたいなやつでしたっけ? #近藤 はい。あれをベースにした言語をだんだん学んで、学んでいくと相手の言ってることがわかるのでコミュニケーションが深まるっていう。 #高倉 えー! #近藤 そういうバックグラウンドのゲームがあるんですよ。 これを図書館に絡められないかな、みたいなことを考えてはいます。 #高倉 言語だからですね、面白い。そういうゲームがあるんですね。 今ちょっとググってwikiを見てるんですけど、確かに面白そうですね。2017年にAndroid版で、18年にiOS。元々はPCゲームですかね? #近藤 そうですね。 #近藤 百合ゲーなので人を選ぶところはちょっとあるもしれないという。 #高倉 でもこれ、こういうコンセプトのゲームって知らなくて、今すごい面白いなって。いや、勉強になります。 あっ、続編もあるんですね。 #近藤 後日談的な感じのゲームが「いつかのメモラージョ」っていう。そっちはまだちょっと手を着けてないんですけど。 #高倉 あっ、そうなんですね、面白い、すごい勉強になります。 私も後で国会図書館のやつとこれは調べてみます。面白い。 今日はもう本当に色々なお話ありがとうございます。いろいろお話聞こうと思いつつ、私が大変勉強になったという。 #近藤 いえいえ、こういう機会を設けていただいてありがとうございます。 ゲームって、人と人を繋ぐっていう性質もあると同時に、孤独に寄り添ってくれるものでもあるので。 #高倉 あ〜。はい、はい。 #近藤 そういう両面からいけるといいなって思いますね。 #高倉 最後にすごいいい言葉ありがとうございます。 今、最後に何か一言ありますかって言おうかなと思ってて。 空気読んで近藤さんに言っていただいて、本当ありがとうございます。 本当、そうだと思います。 みんなとわいわいやれるって面もあるんですけど、人の孤独に寄り添えるものであるというのは私も強く思ってる部分ですので。 今のお話、すごくグッときました。 #近藤 ありがとうございます。 #高倉 今日はお忙しい中、朝からありがとうございました。 #近藤 ありがとうございました。