図書館が応援する【百聞は一“触”に如かず】

目的
 視覚障害者に対する触覚を通した情報保障となる3D模型を活用した新しい図書館サービスを模索する。その際、様々な実践を試みたので、それらを報告する。


背景
 視覚障害者の要望に基づき、図書館による点字図書やDAISY図書等による彼らに対する情報保障サービスの提供が実施されている。しかし、全盲で盲学校教諭であった故・桜井政太郎氏によれば【百聞は一“触”に如かず】であり、現在の図書館によるサービスが、視覚障害者の「知りたい」に対して、十分に応えられているとは言い難い。そこで、視覚障害者に対する情報保障の新しい試みとして3D模型の活用を模索した。


【実践例1】(公共図書館)
香美市立図書館「かみーる」(高知県)

 「図書×3D模型」を実践した公共図書館。2023年9月16日「読書バリアフリーフェスタ2023」を開催した。その後、展示スペースにおいて、3D模型に合わせて関連図書と解説文を展示した。以下は、東京タワーと雷門をキーにした「図書×3D模型」の展示例である。

東京タワーと雷門の3D模型と解説文のポップ、関連図書の展示例

報道事例

◆高知新聞2023年9月21日版24面『障害者の読書環境考える 高知・香美市立図書館でバリアフリーフェスタ』


【実践例2】(点字図書館)
佐賀県立視覚障害者情報・交流センター「あい さが」(佐賀県)

 「図書×3D模型」を実践した点字図書館。2022年11月3日、ブックトークと「触れる博物館」を開催。視覚障害者へ3D模型に触れていただきつつ、点字図書やDAISY図書、写真集等を当事者や支援者へ紹介した。
当事者の意見
型にふれてそのものの実像が見えてきた

触れると現地に行ってみたくなる

点字など貼ってほしい(名前など)」

色がついていたらもっと想像できた

建物を触るのは無理があるのでこんな形を理解するのによい

報道事例

◆佐賀新聞2022年11月15日版16面『視覚障害者が楽しめる読書 立体模型に触れながら… 情報・交流センター「あいさが」で活動紹介』


【実践例3】(点字図書館)
オーテピア高知声と点字の図書館(高知県)

 触察3D模型貸出サービスを提供し始めた点字図書館。3D模型や3Dプリンター常設展示している。

2023年9月18日、触察イベントを開催。「高知城」「ひろめ市場」形の解説を聴きながら、一人一つの3D模型を触察していただいた。
当事者の意見
高知城に行って3D模型に触れながら、観光ボランティアの解説を受けては


まとめ
 更に、視覚障害当事者から意見を頂きつつ、彼らの「知りたい」に応えたい。


謝辞:
本発表は、令和5年度鶴見大学特定研究助成および、JST-RISTEX課題番号: JPMJRX21I5による支援を受けている。