国立国語研究所研究図書室です。私たちの蔵書は、こんな場面でも活躍しています。今日は、蔵書の活躍ぶりをご紹介します。

国立国語研究所研究図書室

 

   

蔵書を利用した共同研究

 

国立国語研究所は1948年に設立され、2009年から大学共同利用機関になりました。日本語を中心に、ことばの調査を行い、ことばに関する研究資料を収集し、研究コミュニティーに提供するとともに、国内外の研究者と共同研究を進めています。研究の対象となる資料は、方言による会話の録音であったり、現代の新聞・雑誌や和本などの書物に書かれたことばであったりとさまざまです。

国立国語研究所の研究図書室の蔵書が共同研究の対象になることもあります。最近の公募研究(共同利用型共同研究 (A))では、言語地図や訓点資料を利用する研究課題が採択されています。言語地図は、各地域で使われていることばを記号に置き換えて地図に表したもので、方言の地理的分布を見ることができます。訓点資料は、漢文を読み解くために読み仮名や語順などの訓点を記入した前近代の漢籍・仏典で、訓点記入当時の日本語の様子を知ることができる歴史資料です。

現在、2024年度の公募研究を募集中です(2023年11月10日締切)。国立国語研究所の蔵書はもちろんのこと、研究資料、コーパス、分析装置を利用した研究課題の応募をお待ちしています。

日本言語地図

(画像)言語地図:『日本言語地図』第53図「いる(居る)」

訓点資料

(画像)訓点資料:尚書(古活字版第三種本)

 
   

日本語研究・日本語教育文献データベース

 

「日本語研究・日本語教育文献データベース」は、日本語学、日本語教育研究の専門特化型リファレンスデータべースとして、2011年から公開されています。

国立国語研究所刊行の『国語年鑑』(1954~2009年)と『日本語教育年鑑』(2000~2008年)の情報をベースとして、国内の逐次刊行物の文献情報だけでなく、図書の論文集の論文や、海外誌の文献情報等も収録しています。また、オープンアクセスでWeb上に全文公開されている論文については、検索結果から論文の全文を閲覧することができるため、全文データベースとしての機能も備えています。

情報源としては、日本語に関する専門図書館である研究図書室の蔵書を活用し、掲載にあたっては、研究員が原論文の全文を熟読し、日本語学、日本語教育研究に関連する論文のみを選び、論文・図書の内容を示す分野情報(「音声・音韻」「文法」「方言」など)を付与しています。

日本語学・日本語教育研究分野の専門家はもちろんのこと、学生にとっても有効な検索ツールとして利用できます。

   

研究図書室の紹介

 

国立国語研究所研究図書室は日本語学、言語学、日本語教育、及び関連分野の文献・資料を収集・所蔵している全国で唯一の日本語に関する専門図書室です。

蔵書数は、図書が約16万3,000冊、雑誌が約6,000タイトルで(2023年4月現在)、学術書はもちろん、日本語に関する一般書や児童書、地方出版の資料なども可能な限り収集しています。

研究図書室は調査・研究を目的として研究図書室の資料を必要とされる方であればどなたでもご利用いただけます。最新の開室状況はホームページでご確認ください。

閲覧室1

専門図書室をうたってはおりますが、わたしたちが普段話している日本語に関する図書室ですので、研究に携わる方でなくても興味をひかれるような研究・資料も多くあります。

たとえば、サムネイル画像の右側に使われている「日本言語地図」は、全国各地で使われている言葉を日本地図上にマッピングしたものです。研究上価値のある資料ですが、眺めるだけでも楽しむことができます。ウェブ上でも公開されていますので、自分の出身地や身近な方が住んでいる場所で、どのような言葉が使われている・いたのか調べてみてください。

閲覧室2

研究図書室では、主に刊行された研究成果物や図書、雑誌などを所蔵しています。一方、研究所の調査・研究において収集・作成した資料、調査票や音声・映像などは所内の「研究資料室」で保存しています。研究資料室については、2022年にポスターを作成していますのでこちらもご覧ください。

このほか、研究所で所蔵する貴重資料や、研究成果、刊行物などの電子化・公開も進めています。サムネイル画像の左側は図書室で所蔵する「尚書」(古活字版第三種本)の冒頭で、こちらも以下の「日本語史研究資料」で公開されています。

これからも日本語に関する資料を収集・発信してまいりますので、国立国語研究所研究図書室をぜひご利用ください。