ミュージアム(博物館・美術館)、アーカイブ(文書館だけでなく公的に記録を保管する施設)、ライブラリー(図書館)、そして大学、劇場やホールを含めた文化産業界の連携を図る活動としてMALUI、MULTIという語があります。MLA連携と呼ばれたものの発展形です。私達の社会をもっと彩り豊かなものにするために、文化を共に担う機関としての連携を進めていく必要があるでしょう。その一方、それぞれの良さを生かした「複合」や「融合」という試みはまだまだ模索の中です。
私たちは、これらの文化施設の連携と融合の可能性を探るため、2021年7月・9月・11月、2022年1月・4月・7月・11月、2023年2月・5月・11月、2024年1月・5月・7月・11月、2025年5月と15回の越境シンポジウムを開催し、これまでのべ1600名あまりの方にご参加いただきながら、各機関や文化資源を取り巻く状況、新たな連携のあり方について議論しています。また「ライブラリー・リソース・ガイド」45号に「特集:文化資源の保全と図書館・博物館-越境して未来を考える」を、第51号に「特集:文化的コモンズ 地域で展開する」を掲載しました。また、フォーラムのメンバーが執筆した、佐々木秀彦(2024)『文化的コモンズ:文化施設がつくる交響圏』(みすず書房)も、大きな成果です。
今回、メンバーである福島幸宏を編者のひとりとした、阿児雄之・北岡タマ子・田良島哲・福島幸宏・本間友・山内利秋(編著)(2025)『ミュージアムの未来をつくる:博物館情報・メディア論』(美学出版)が刊行されました。学芸員養成課程の「博物館情報・メディア論」のテキストとして構想されたものですが、結果として博物館を超えて文化施設の活動全体を情報・メディアの観点から再提起するものになっているともいえそうです。そこで、今回は『ミュージアムの未来をつくる:博物館情報・メディア論』を素材に、文化施設の間の接点を増やす試みに挑戦します。ご参加のみなさんの熱い議論を期待します。
趣旨説明 佐久間大輔(大阪自然史博物館)
・報告 本間友(慶應義塾大学ミュージアムコモンズ)
大澤剛士(東京都立大学)
江上敏哲(国際日本文化研究センター)